2021年3月5日

設備保全のあるべき姿とは?設備保全業務のスマート化について解説

工業製品などの生産には機械設備が必要不可欠です。この機械設備を安定的に動かし続けるには、点検や修理といった設備保全が欠かせません。従来は人間の知識や経験だけで行うことが一般的だった設備保全に、IoT(モノのインターネット)などのテクノロジーを導入することで、設備保全業務のスマート化が実現できます。この記事では、設備保全のあるべき姿の1つであるIoTなどを活用した設備保全のスマート化を解説します。

生産活動に必要不可欠な設備保全とは

設備保全には、大きく分けて3つの方法があります。ここでは、設備保全が必要な理由と3つの方法を紹介します。

設備保全が必要な理由

設備保全とは、安定的に生産活動が行えるように機械設備の点検や修理を行うことです。生産活動には複数の要素が必要ですが、機械設備もその中の1つです。オペレーターや原材料の不足も生産活動に影響しますが、生産活動自体が停止する可能性は高くありません。ところが、故障によって機械設備が稼働しなくなれば、オペレーターがいて原材料があっても生産活動は行えません。そのため、機械設備の故障という最悪の事態が発生しないように、工場などでは定期的に設備保全を行っているのです。

予防保全

予防保全とは、機械設備を安定・継続的に稼働させるためにあらかじめ立案された計画にもとづいて、点検・修理・部品交換といった設備保全を行う業務のことです。不具合が見つかった場合は直ちに修理を行います。また、経年劣化が激しい部品類には、決められた期間ごとに交換を行う「時間基準保全」と劣化具合を見極めて交換する「状態基準保全」があります。予防保全は、故障や部品の劣化を未然に防ぐことが1番の目的です。故障が起こってから対応するよりも時間やコストがかからないことから、予防保全は重要な設備保全であるといえます。

事後保全

事後保全とは、機械設備に故障が起こってから対処する設備保全のことです。予防保全を行っていても防止できない故障があるため、事後保全が迅速かつ的確に行える体制づくりは、生産活動にとって大切な業務の1つです。事後保全では、故障の発生後直ちに原因の究明を行います。原因究明を行うには機械設備の仕様書であるドキュメントを参照しながら、どこに故障が起きているのかを確認します。原因が判明すれば、できるだけ早急に修理や部品の交換などを行って生産活動の低下をできる限り少なくするのが、事後保全の最も重要な役割です。

予知保全

予知保全とは、テクノロジーを用いて故障を未然に防ぐ設備保全のことです。予知保全では人間の目で行っていた設備保全を、機械設備に取り付けられたセンサーによってデータを取得することによって、ほぼ自動的に行うことができます。人間が行うのはセンサーが収集したデータをパソコンなどで確認して解析するだけです。常に最新のデータがインターネット回線やWi-Fiの電波で送信されるため、現時点の機械設備の状態がどこにいても一目瞭然に確認できます。そのため、データの数値が故障の兆候を示していれば、直ちに適切な対応を取ることができます。予知保全は、モノとインターネットが融合したIoT時代にふさわしい設備保全のあるべき姿なのです。

設備保全のスマート化が必要な2つの理由

設備保全には予防保全に加えて、予知保全によるスマート化が必要になります。ここでは、予知保全によるスマート化が必要な理由を解説します。

機械設備の老朽化による故障の発生防止

機械設備の耐用年数は概ね8〜10年ほどです。この年数に達すると、企業は設備投資を行って機械設備を更新することを迫られます。ただ、需要の低下から機械設備の稼働率を下げていたり、生産のほとんどを海外の工場に依存していたりする企業の場合、耐用年数を過ぎても機械設備を使い続けているケースがあります。稼働率が低いとはいえ、耐用年数を大幅に過ぎた機械設備は故障の可能性が高まります。ところが、予防保全による設備保全だけでは、故障の予兆を的確に見極めるのが難しいのが実情です。増加傾向にある故障の予兆を的確に発見できなければ、故障の度に生産活動が停止して生産性の低下が避けられません。そのため、より的確に故障の予兆をつかめる予知保全によるスマート化が必要なのです。

機械設備の点検・修理の効率化ができる

予知保全によるスマート化を進めることで、機械設備の点検・修理の効率化が可能になります。規模の大きさに関わらず、機械設備の仕様書が紙だけという企業は少なくありません。紙の仕様書でも特別困るわけではありませんが、機械設備ごとの定期点検結果などを知りたい場合に、それぞれの現場に赴いて「点検管理簿」や「故障台帳」を入手する必要があります。小さな工場なら問題ありませんが、規模の大きい工場や施設が点在している企業の場合、ファクスで送信してもらうといった煩雑なやり取りが必要です。予知保全によって設備保全をスマート化することで、全工場の全機械設備の状態をタブレットなどで常時確認することができます。その結果、機械設備に関する情報の把握や業務の効率化を促進することが可能になります。

設備保全をスマート化する7つのメリット

予知保全による設備保全のスマート化には、設備機械の故障の予兆を察知する以外にも7つのメリットがあります。ここでは、設備保全を予知保全によってスマート化するメリットを紹介します。

人件費の削減

予知保全によって設備保全のスマート化を行うことで、人件費を削減することが可能になります。予知保全によるスマート化では機械設備の点検をIoTによって行うため、設備保全に携わる従業員の数を削減できるのがその理由です。規模の大きな工場であれば機械設備の数も多いため、設備保全に対応する従業員の数も多くなってしまいます。予知保全であればモニターで監視するだけなので、設備保全に携わる従業員を減らすことが可能なります。削減できた従業員は別の業務に振り分けることができるため、人件費の削減と生産性の向上が期待できます。

機械の修理コストの削減

予知保全による設備保全のスマート化は、機械の修理コストの削減に貢献します。予防保全では計画的に機械設備の点検を行い、故障を未然に防いでいます。とはいえ、人間の目による確認のため、故障につながる兆候を見逃す可能性があります。また、向上などの生産現場では計画点検が行えないほど忙しくなることがあるため、予防保全で完璧に不具合や故障を防ぐことは難しいのが現実です。予知保全によって設備保全をスマート化することで、故障につながるような機械設備の変化を見逃す可能性は低くなり、24時間365日監視することが可能になります。その結果、機械設備の故障による修理コストの削減につながります。

また、工場などでは部品の交換が必要になるような事態に備えて、常に交換用部品をストックしています。ただ、規模の大きな工場などでは交換用部品のストック数も多くなるため、それに掛けるコストも大きくなってしまいます。予知保全であれば、監視モニターで機械設備の故障の予兆を発見してから部品を発注できるため、交換用部品をストックしておく必要性が下がります。そのため、交換用部品のコストを削減することができるのです。

生産性低下の回避

予知保全による設備保全のスマート化によって生産性の低下を防止することができます。予防保全では、ヒューマンエラーの発生を完全に防ぐことはできません。もし、故障の予兆を見逃して機械設備が完全に停止すると、生産性の大幅な低下は免れません。工場などの生産現場では1機の機械設備が1分ほど停止するだけでも、企業に大きな損害を及ぼす可能性が考えられます。すべての機械が連動している場合は、生産活動全体が停止してしまうかもしれません。予知保全によって故障の予兆を確実につかむことで、生産性低下の回避が期待できるのです。

特別なスキルが必要なくなる

予知保全による設備保全のスマート化には特別なスキルが必要ありません。予防保全では、故障の予兆を発見するための知識や経験が要求されます。人手不足の企業では人材を獲得することも簡単ではありませんし、育成にも一定の時間が必要です。予知保全であれば特別なスキルが必要ないため人材の獲得も比較的容易で、短時間の研修で業務に従事することができます。

従業員の働き方を改革できる

予知保全による設備保全のスマート化を導入すると、従業員の働き方改革が可能になります。予防保全では、予兆の見逃しによって突発的な故障が発生することが少なくありません。そのため、事後保全を担当する従業員は、帰宅後や休日にも出社を命じられる可能性を常に考えておく必要があります。こういった働き方は、従業員の心身に負荷をかける可能性が考えられます。予知保全では故障の予兆が発見しやすくなるため、従業員の緊急出社の可能性を低くすることが期待できます。

事後保全の業務効率が向上する

予知保全による設備保全のスマート化によって、設備保全の業務効率が向上する可能性が高まります。事後保全はチームで業務に従事するケースがほとんどです。そのため、それぞれの知識や経験が優先されがちになり、業務が非効率になる可能性が考えられます。予知保全による設備保全のスマート化を導入することで、全員が同じデータに基づいて事後保全業務に従事することになるため、スタンドプレーの防止につながります。その結果として、業務効率の向上が実現できるというわけです。

設備管理台帳が自動的に更新される

予知保全によって設備保全をスマート化することで、「点検管理簿」や「故障台帳」などの「設備管理台帳」が自動的に更新されます。紙の台帳の場合だと記載の不備や保管の仕方によっては、最新の台帳がどれなのかわからなくなる事態が発生します。予知保全による設備保全のスマート化にはこういった事態の防止だけでなく、設備管理台帳が自動的に更新されるというメリットがあります。誰もが簡単に最新の「設備管理台帳」にアクセスできるため、余計な手間に悩まされる心配がなくなります。

3つの設備保全を融合して設備保全のあるべき姿を実現しよう!

予知保全による設備保全のスマート化によって、生産性や業務効率の向上などが期待できます。とはいえ、予知保全によるスマート化だけで実現できるわけではありません。予知保全によるスマート化だけでなく、予防保全による点検や事後保全のスキルも必要だからです。設備保全のあるべき姿とは、予知保全・予防保全・事後保全の3つを上手に融合させることなのかもしれません。

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