2021年4月9日

ビル管理法とはどんな法律?対象となる建物や目的について解説

建物の管理をするときや設備設計をする際などにはビル管理法を遵守しなければならない場合が多々あります。しかし、どのような内容の法律で、どの種類の建物が適用されるのかがわからずに悩んでいる人もいるでしょう。この記事ではビル管理法の概要や目的、ビル管理法の対象となる建物や管理基準について幅広く解説します。

ビル管理法の概要

ビル管理法は「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」というのが正式名称です。一般的にビルと呼ばれていることが多い建築物について、管理についての基準を定めているのが特徴ですが、どのような内容が盛り込まれているのでしょうか。まずはビル管理法の概要と目的を確認しておきましょう。

ビル管理法の目的とは

ビル管理法が制定された目的は何かがわかると内容を理解しやすくなります。ビル管理法の目的は第一条に明確に記載されています。条文をそのまま読んでもわかりにくい部分もありますが、基本的には多数の人たちが利用する建築物についての維持管理と環境衛生の管理をするために必要なことが何かを定めるのがビル管理法の目的です。公衆衛生に重きを置いているのが特徴で、利用者が多い建物における衛生環境の確保のための管理基準を定めています。

ある特定の限られた人数の人だけが出入りする建物で、誰も利用することがない場合もあります。この際には利用者全員に注意事項を周知して徹底させれば多少の危険がある建物だったとしても安全性を保つことは不可能ではないでしょう。しかし、利用者が多い場合には誰が利用しているかが特定されていたとしても、注意条項の周知徹底が困難になり、心身に悪影響を及ぼすリスクがあります。また、誰もが利用する可能性がある建物では特にルールを知らなくても安全に利用できるようにしなければ、利用者の健康面に問題が生じることがあり得るでしょう。このような問題が発生するのを未然に防ぐために整えられたのがビル管理法です。

ビル管理法の建築物環境衛生管理基準

ビル管理法では対象となる建物について建築物環境衛生管理基準を満たすことを求めています。ビル管理法の建築物環境衛生管理基準とは建築物の衛生環境を維持増進するための基準を定めたものです。項目としては空気環境、給排水、清掃、ネズミなどの防除という四つに分けられています。また、この基準を満たしているかどうかを判断するために必要な検査についても規定が定められていて、検査項目に従った管理を徹底することが求められます。

ビル管理法の対象建物とは

ビル管理法は多数の利用者がいる建築物についての衛生管理基準に関わる法律です。そのため、ビル管理法は全ての建築物が対象となるわけではありません。ビル管理法で定義されている特定建築物に該当する場合にのみビル管理法が適用されます。特定建築物がどのようなものなのかを一通り知っておきましょう。

特定建築物とは

特定建築物はビル管理法の目的から考えると利用者が多いと考えられる建築物に適用されると考えられます。しかし、実際には特定建築物の要件として定められているのは床面積の広さと建築物の利用用途です。利用人数の多さを基準としているわけではないので注意しましょう。以下で紹介する定義を見てみるとわかるのが、主に不特定多数の利用者がいる建築物の衛生管理を重視していることです。例えば、マンションや工場は対象として定められていません。規模が大きくて大勢の入居者がいるマンションでも、大規模で大勢の従業員を雇っている工場でも利用者が特定されているので除外されています。そのため、ビル管理法の遵守が必要かどうかは比較的容易に判断することが可能です。

特定建築物の定義

特定建築物の定義は建築基準法によって建築物と認められるものというのを前提として、以下の2点を満たしている建築物です。1つは利用用途がビル管理法に記載されている特定用途に該当することです。もう1つはその用途で使われる延べ面積が3000平方メートル以上あることですが、例外的に学校教育法第一条で定められている小学校や中学校などでは8000平方メートル以上の場合にのみ特定建築物になります。

特定用途としては百貨店や集会場、遊技場や興行場のように不特定多数の人が集まる可能性が高い用途がまず挙げられています。店舗や事務所、研修所や旅館なども、従業員だけでなく来客が大勢いる可能性があるので特定用途に含まれています。また、図書館や博物館、美術館についても例外ではありません。ビル管理法では具体的に挙げられていない建築物でも、類似性がある用途で用いられている場合には該当する場合があります。公民館や文化会館、結婚式場や銀行なども利用面積が条件を満たしている場合には特定建築物になるので注意が必要です。駅は該当しないものの、内部に店舗が設けられている場合には特定建築物になる可能性があります。個々に特定用途で用いられている面積を調べて条件を満たすかどうかを判断することが必要です。

ビル管理法で定められている管理基準

ビル管理法における特定建築物に該当する場合には建築物環境衛生管理基準を満たすように対応をしなければならないのが原則です。管理義務を果たすために必要な内容について概要を把握しておきましょう。

空気環境の管理

建築物内の空気環境は衛生的に保つために厚生労働省が定めている基準を満たすことが求められます。浮遊粉塵や一酸化炭素濃度、温度や気流などについて二か月に一回以上の頻度で空気環境測定を実施することが必要です。空調設備についても衛生状況の維持のため、月一回以上の点検や、年一回以上の清掃を実施することが求められています。

給排水の管理

給排水の管理では厚生労働省が定めている水質検査の方法に従って検査を実施することや清掃を行うことが必要です。特定建築物では飲料水と雑用水、排水について管理をすることが求められています。飲料水については成分分析が必要になります。雑用水でも検査が必要ですが、飲料水の場合にはミネラルや有害物質の濃度について詳しい分析をしなければなりません。特に残留塩素の測定は7日以内に1回という高頻度で行わなければならない検査なので注意しましょう。貯水槽や雑王水槽の点検や清掃も求められていますが、定期実施が必要なのは貯水槽のみで1年以内に1回となっています。排水については具体的な義務は排水設備の6か月に一回以上の清掃だけです。

清掃の管理

特定建築物の清掃については通常の掃除と大掃除の二つに分けられています。通常の掃除は日常的に実施して衛生環境の維持向上に努めることが基本です。管理上重要になるのは大掃除の方で、6か月に1回以上の頻度で実施するだけでなく、定期的で掃除の内容について統一性があることが求められています。スケジュールと実施方法を定めて取り組むことが必要なので気を付けましょう。

害獣や害虫の防除管理

健康被害に直結するリスクがあることから、特定建築物ではねずみなどの害獣やゴキブリなどの害虫の防除をしなければなりません。対象となっているのはねずみとゴキブリだけではなく、ノミやシラミ、ダニや蚊など多岐にわたっています。病原性のある微生物を媒介する可能性がある害獣や害虫については防除対象になります。6か月に1回以上の調査の実施が義務付けられていて、調査結果に基づいて措置が必要な時期にはその都度実施することが必要です。都道府県ごとに建築物事業の登録をしている専門業者があるので、調査や駆除はプロに依頼するのが望ましいでしょう。

ビル管理法における届出と管理施行のルール

ビル管理法では建築物環境衛生管理基準に基づいて建築物の管理が正しく行われていることを確認するため、特定建築物に該当する場合には届出と管理施行についてルールを定めています。特定建築物の所有者は以下の二点に留意して対応しなければなりません。特定用途に該当する使い方をする際には注意が必要なので正しく理解しておきましょう。

特定建築物の届出

特定建築物は原則として所有者がその建築物のある地域の都道府県知事に届出をしなければなりません。保健所が設置されている市や特別区の場合には市長または区長に届出をすることになります。基本的には保健所が窓口になると考えて問い合わせをしてみるのが適切です。特定建築物の届出は建築物を特定用途で利用するようになってから1ヶ月以内に行わなければなりません。新築をした場合だけでなく増改築や用途変更をした際にも、特定用途で使い始めてから1ヶ月以内が期限です。届出の内容は特定建築物の名称や住所、用途や延べ面積だけでなく、構造設備の状況についても含まれています。そして、特定建築物の所有者などの情報を記載して提出します。

建築物環境衛生管理技術者の決定

特定建築物の届出をするときには建築物環境衛生管理技術者についても氏名及び住所を記入しなければなりません。建築物環境衛生管理技術者はビル管理者とも呼ばれていて、特定建築物の管理における責任者になります。建築物環境衛生管理技術者になるためには国家資格が必要なので、国家試験を受けて免許を取得した人を選任しなければなりません。国家試験の受験資格としては建築物管理の2年以上の実務経験が求められています。建築物環境衛生管理技術者は自ら点検や検査などを実施するわけではなく、全体管理をするのが業務です。管理に必要とされる項目が何か、どのような管理方法があるかを全体的に熟知していなければならないため、実務経験があることを条件とする国家資格の保有が求められています。

ビル管理法を遵守して安心できる環境を整えよう

ビル管理法は多数の利用者がいる建築物での衛生環境を維持するための基準を定めています。空気や水の衛生、清掃、害獣防除などの管理について規定があり、一定以上の規模で不特定多数の人が利用する可能性がある特定建築物では遵守が必須になります。誰もが安心して利用できる環境を整えるための法律なので詳細を確認して管理を徹底していきましょう。

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