2021年4月2日

消防設備点検は義務?消防設備点検の報告制度について解説

マンションの管理や運営を行う上で、消防設備点検についての知識は必要不可欠なものです。もっとも、その内容について詳しく理解しているという方は意外と多くはないのではないでしょうか。そこで以下では、消防設備点検が義務であるのかどうかを見たうえで、その報告制度の内容についても詳しく見ていくことにしましょう。

消防設備点検の報告制度とは?

まずはじめに、消防設備点検の報告制度とはどういったものであるのかについて見ていきましょう。マンションをはじめとする主な建物には、そこに住む人々の大切な生命や財産を守るために、自動火災報知機やスプリンクラー、消化器といった様々な消防設備が設けられています。もっとも、せっかくしっかりと設備を設けていたとしても、故障や劣化によって、いざ火災が発生した時に使い物にならなくなっていたのでは意味がありません。そういったことにならないようにするために、日本では消防法という法律を制定して、それらの消防設備について定期的に点検したうえで、その点検結果を報告することを義務付けているのです。これが、消防設備点検の報告制度と呼ばれるものです。

では、そのような報告義務を負うのは誰なのでしょうか。消防法によると、それは「管理について権原を有する者」であるとされています。これにはもちろん建物の所有者が含まれますが、必ずしもそれだけに限られないという点に注意する必要があります。法律や契約、慣習によって建物を管理する権原を有しているとみなされる者は幅広く義務の対象となりますので、例えば管理者や占有者なども報告義務者になり得るのです。なお、点検結果の報告先は、所管の消防署長となります。所有者から建物の管理を委託された場合には、当然ながら所有者に対して点検結果を報告することが求められますが、消防法の観点からは、それに加えて消防署長にも報告しなければなりませんので、その点を忘れないようにしましょう。

消防設備点検にはどういった種類があるのか?

消防設備点検には、大きく分けて機器点検と総合点検の2種類があります。ここでは、それらの具体的な内容について説明します。

機器点検

まず一つ目の機器点検というのは、建物に消防設備などが適切に設置されているかどうかや、設置されている機器が損傷していないかどうかなどを、実際に目視によって点検するというものです。また、目視だけでは、その機器が本当に正常に作動するかどうかが分からないため、検査時には外観のチェックに加えて、実際にそれを操作してみて確実に動くかどうかも確認しなければなりません。ただし、本格的に検査を行うとなると時間もコストもかかりますので、機器点検において行うのは、あくまでも簡易な操作のみとなっています。この機器点検は、少なくとも6か月に1回は行わなければなりません。気が付いたら前回の点検から半年以上経ってしまっていたといったことにならないよう、しっかりとスケジュールを組んで準備する必要があります。

総合点検

二つ目の総合点検というのは、設置されている消防設備を実際に作動させてみて、本来の機能が確実に発揮されるかどうかを総合的に点検するというものです。ただし、点検のためにスプリンクラーを作動させて室内が水浸しになるといった事態を避けられるようにするために、総合的に安全性が確認できるのであれば必ずしもすべての設備を作動させる必要はありません。この総合点検を行うためには、建物の各部屋への立ち入りが必要になります。マンションの場合には、住民の同意を得なければ専有部分への立ち入りはできませんので、普段から消防設備点検の重要性を説明して、理解を深めてもらうようにすることが大切です。

なお、機器点検が6か月に1回のペースで行わなければならないのに対し、こちらの総合点検は1年に1回行えばよいとされています。機器点検に比べて、総合点検はそれなりに大きな負荷がかかるため、1年ごとに実施すればよいのですが、頻度が少ない分、ついつい忘れてしまいがちですので、こちらも機器点検と同じくしっかりとスケジュールを立てて対応しなければなりません。

報告義務の対象となる建物とは?

建物の中には、消防設備士や消防設備点検資格者といった一定のスキルを備えた者が消防設備点検の報告を行わなければならないものと、防火管理者などが報告すれば足りるものの2種類があります。ここでは、前者に該当する建物について、カテゴリー別に紹介します。

延べ床面積が1,000平方メートル以上の特定防火対象物

延べ床面積が1,000平方メートルを超えるような特定防火対象物の消防設備点検は、消防士または消防設備点検資格者が実施してその結果を報告しなければならないとされています。ここで特定防火対象物に該当するのは、デパートや飲食店、ホテル、病院、地下街などです。これらの施設は大規模である上に、不特定多数の人々が利用することから、一般的な建物に比べて高度な防火対策が求められます。検査についても、より入念に行う必要があるため、専門的なスキルを備えた消防士や消防設備点検資格者が行うことが義務付けられているというわけです。

延べ面積が1,000平方メートル以上の非特定防火対象物のうち消防長や消防署長が指定したもの

特定防火対象物以外の建物や施設であっても、面積が1,000平方メートル以上で、消防庁や消防署長から指定されたものについては、特定防火対象物と同様に消防士や消防設備点検資格者による消防設備点検の結果報告が義務付けられています。具体的に指定されるのは、工場や事務所、学校、倉庫、共同住宅などです。特定防火対象物と同じく、これらの施設も多くの人々が利用するものですので、しっかりと点検を行って十分な防火機能を備えておく必要があるのです。

特定防火対象物のうち避難経路が一つしかないもの

延べ床面積が1,000平方メートル未満の特定防火対象物であっても、避難経路が一つしかないような建物は、消防士や消防設備点検資格者が消防点設備点検の結果報告を行う必要があります。屋内階段が一つしかないような雑居ビルなどがこれに該当します。こういった建物では、過去にも火災による大きな被害が発生しており、しっかりと安全性を確保しておかなければ、今後も同様の悲劇が繰り返される恐れがあります。そのため、該当する建物の管理者となった場合には、高い意識を持って消防設備点検を行うようにしなければなりません。

義務に違反するとどうなるのか?

消防設備点検の報告は法律によって義務付けられているものですので、もしそれに違反した場合には罰則が科される恐れがあります。罰則には違反の内容ごとにいくつかの種類がありますので、以下で順番に見ていきましょう。

消防設備などの設置命令に違反した場合

消防法に基づく消防設備などの設置命令に違反した場合には、1年以下の懲役か100万円以下の罰金が科せられます。悪質な場合には、刑務所に入らなければならなくなりますので、くれぐれも義務違反にならないようにしましょう。

維持管理義務に違反した場合

消防法では、消防設備を設置するだけでなく、それが適切に作動するように維持管理することが義務付けられています。もしその義務に違反した場合には、30万円以下の罰金か拘留処分が科されます。この罰金は法人も対象となっていますので、もしマンションの管理会社などが義務を怠ってしまうと、処罰されてしまうという点に注意しなければなりません。

点検報告義務に違反した場合

消防設備点検の結果を報告しなかった場合にも、30万円以下の罰金か拘留処分が科せられます。法人も罰金の対象になるという点は、維持管理義務違反の場合と同様です。せっかく消防設備点検を行っても、その結果を報告し忘れると処分されかねませんので、点検が終わったからといって気を抜かないようにしましょう。

点検結果の報告頻度は?

消防設備点検の報告が求められる頻度は、建物の種類によって異なります。ここで注意しなければならないのは、報告の頻度と点検の頻度は、必ずしも一致するものではないという点です。前述のように、点検の頻度は、機器点検の場合は6か月に1回、総合点検の場合は1年に1回とされていますが、その報告頻度は同じではありません。報告頻度は、特定防火対象物の場合と非特定防火対象物の場合に分けて定められていますので、ここではそれぞれについて見ておきましょう。

特定防火対象物の場合

特定防火対象物の場合には、1年間に1回の報告が義務付けられています。劇場やキャバレー、飲食店、百貨店、病院、幼稚園、地下街などは特定防火対象物に該当しますので、これらの施設については総合点検を行ったタイミングで報告するようにすると良いでしょう。なお、紛らわしいのは浴場です。一般浴場は特定防火対象物に該当しませんが、特殊浴場は含まれますので、誤解しないように注意しなければなりません。

非特定防火対象物の場合

非特定防火対象物の場合には、3年間に1回の報告が義務付けられています。特定防火対象物に比べると報告の頻度は3分の1で済みますが、3年ごととなるとどうしても忘れがちになりますので、しっかりと記録を残すなどして、報告漏れにならないようにしなければなりません。共同住宅や学校、図書館、工場、寺社仏閣、倉庫、駐車場、文化財、アーケードなどはこちらのカテゴリーに分類されます。幼稚園は特定防火対象物ですが、学校は非特定防火対象物です。どちらも子供を預かる大切な施設であるという点では共通ですが、点検結果の報告頻度は異なっていますので、取り違えたりしないように気を付けましょう。

消防設備点検をしっかり行って安全性を高めよう

以上で見てきたように、建物の管理者にとって消防設備点検は欠かすことができない大切な責務です。これを怠ると罰則を科せられるだけでなく、建物を利用する人々を危険にさらしてしまう恐れがあります。火災による被害を未然に防止するためにも、くれぐれも義務違反にならないよう、普段から自分が負う義務の内容をしっかりと理解しておくようにしましょう。

お気軽にお問い合わせください

不明点やご相談、デモの依頼なども
お気軽にお問い合わせください