2021年3月26日

保全・保守・メンテナンスの違いとは?

設備の工事や管理をする上で業者は様々な業務を担っており、その中の一つとして保全や保守、メンテナンス業務があります。これらはいずれも設備の工事や管理には欠かせない業務なのですが、それぞれの業務の違いが判らず同じように扱われていることも少なくありません。そこで今回は、保全・保守・メンテナンスそれぞれの意味や違いについて解説します。

保全とは?

保全とは保護して安全にすることという意味の言葉であり、設備を安全かつ正常な状態に保てるように守る業務のことを指します。簡単に言ってしまえば、設備が故障や何らかのトラブルで正常に動作しなくなる状態にならないようにチェックや点検を行い、正常に稼働している状態を維持するための業務や作業です。

そんな保全には事後保全・予防保全・予知保全と呼ばれる3つのプロセスが存在しています。

事後保全

事後保全とは、機能が停止したりパフォーマンスが低下した設備やシステムに対して、不調や故障の原因を究明・対処することを指します。

保全は正常な状態を保てるようにすることがメインの業務ではありますが、故障やトラブルが起きた場合に素早く原因を究明して必要な対処を行うことも含まれているのです。ポイントは素早く問題を解決して正常な状態に戻すことであり、その場で解決できるものは早急に対処し、新しい部品が必要になればすぐに発注をかけて対応しなければいけません。

予防保全

予防保全は定期メンテナンスと予防メンテナンスの2つのプロセスがあり、いずれも設備やシステムが正常な状態で稼働しているか確認するための作業を言います。定期メンテナンスはスケジュールにそって行われ、設備やシステムを正常に稼働するための部品交換や修理も含まれています。

そして予防メンテナンスは部品の劣化を確認して、交換が必要なものに対して処置を行うものを言います。定期メンテナンスのように設備やシステム全体の点検を行うわけではなく、必要最低限の部分のみ対処するところが特徴です。また予防メンテナンスは定期的に行われるわけではなく、必要な時期に行われるのが一般的だとされています。

予知保全

予知保全は設備やシステムの健康状態を確認し、異常がみられる予兆がないか調べる作業です。設備やシステム、器械に取り付けてあるセンサーからデータを定期的に収集し、それぞれの稼働状態を可視化することでデータを解析していきます。

そうして常に設備やシステムの状態を観察することで異常がみられる前兆がどのようなものなのか知ることができ、前兆がみられた場合に早期対処することが可能となるのです。

保守とは?

保守とは、正常な状態を保つことを意味しており、保全とほぼ同じ意味合いになっています。ただ設備やシステムの管理上での保守の意味は、正常な状態を保つこと、正常な状態を保つために守ることと考えられているのです。

分かりやすく言えば、器械や設備、システムなどの整備や点検業務全般のことを指しています。例えば機械や設備に何らかの異常がみられた場合には壊れている個所や問題のある個所を修理・修復します。
システムに関しては安全な状態が保たれるように定期的にソフトウェアを更新したり、ハードウェアを交換することなどが保守業務に該当しています。

もちろん故障や問題が発生しないように定期的に点検を行うことも保守業務であり、何らかの問題が発生した場合のトラブル対応や問い合わせができるサービスを提供する際に行う契約のことを保守契約と言います。保守のポイントは正常な状態を重視している点と、トラブルが起きた時の対応や修理の意味合いが強いところです。

もちろん点検業務が含まれていることもありますが、どちらかと言えば故障やトラブルが発生した時に保守という言葉が用いられているところが多い傾向があります。

メンテナンスとは?

メンテナンスとは、ネットワークやシステム、ハードディスクなどの保守・点検作業のことを指しています。このため保守とほぼ同じ意味で用いられていることが多く、作業内容や業務内容も保守のものとほぼ同じです。また保全業務の中にもメンテナンス作業が含まれていることから、保全業務の意味で用いられていることもあります。ただあくまでメンテナンスはネットワークやシステムが正常に稼働しているかどうかを点検・修理する作業のことであり、正常な状態であるかどうかが焦点となっていますよね。それに対して保全は正常な状態で稼働しているかどうかだけではなく、安全に稼働しているかどうかも重要視しています。

このためメンテナンスは保全よりも保守に近い意味合いを持っていると考えられており、保全とも似ていますが厳密には点検・修理をする目的が異なっているという特徴があります。ちなみに機械が劣化しにくくある一定期間は保守・点検作業を必要としないことを、メンテナンスフリーと言います。ただしあくまでも機械の劣化が起こりにくいだけなので、必要に応じて点検や修理が必要になることも少なくありません。それでもある程度管理業務の負担を軽減することができるため、メンテナンスフリーの機械の存在は重宝されているようです。

保全・保守・メンテナンスの違いは作業の目的

このように、保全と保守、メンテナンスの3つには明確な違いはなく、いずれの作業や業務はほぼ同じような内容となっています。ただ保守とメンテナンスは設備やシステムが安全な状態で稼働できるようにするための作業や業務となっているのに対して、保全は正常な状態だけではなく安全な状態でも稼働しているかどうか点検したり、そのような状態になるように修理・修繕することも含まれています。これは保全という言葉の中に完全な状態に保つことや元の状態に保つことという意味合いが含まれていることが理由として考えられるのです。

そのため保全という大きなくくりの中に保守やメンテナンスが含まれている形となっており、保守とメンテナンスはほぼ同じ意味合いで利用されていることが多い傾向があります。このような点から基本的に設備の管理業務は保全業務が中心となり、修理や修繕が必要になるものであれば保守業務、定期的または必要な時の点検が必要なものであればメンテナンス業務が入ってくるという形になります。ただあくまでもそれぞれの業務には大きな違いがないので、企業によっては保全業務でまとめられているところや保守業務でまとめられているところもあるようです。

また保全・保守・メンテナンスの3つの言葉の意味合いが似ていることから、どの言葉を用いた業務であっても決して内容が異なっているわけではありません。注意しなければいけないのは、器械や設備、システムを管理していく上では保全の方が重要になっているという点です。保守やメンテナンスは正常に稼働するように点検・修理をしていくことなので、言葉の意味だけを考えると使用する側の安全面を配慮する必要がないと判断されてしまいかねません。もちろん保守やメンテナンスであっても安全性を配慮する必要はあるのですが、業務内容によっては正常な状態のみを重視されている可能性もあります。

機械や設備、システムによっては使用する側の安全性も十分考慮しなければいけないものも多いので、より設備の管理を重視するのであれば保全を意識した業務を検討していく必要が出てきます。このように設備やシステムの管理をする際、どのような点を意識して管理していくのかという点を考えると保全という言葉が持つ意味は非常に重要になってきます。

求人掲載時の注意点

設備工事やメーカーで管理関係の業務の求人を出す際、機械保全またはシステム保守など様々な名目で求人を掲載しますよね。いずれの場合も予防保全または事後保全の業務を中心としていることが多いのですが、保全以外の言葉を使って求人を掲載しても問題はありません。一般的には保全も保守もメンテナンスも同じ意味合いの言葉として理解されているため、業務内容がわかりやすい名目であればいずれの言葉を使ったとしても相手には通じるためです。基本的には保全業務であることから、どの言葉を使えばいいのかわからない場合は保全業務として求人を掲載しておくと相手側にも理解してもらいやすい可能性があります。

また頻繁に修理やトラブルが起きることが予想される設備やシステムであれば、保守業務として修理をしてもらうことが多い点を伝えておく必要があります。さらに定期メンテナンスを中心としたメンテナンス作業が多いのであれば、メンテナンス業務が中心であることを前面に出しておくのも効果的ですよね。ただこれらのポイントはやっておかなければいけない注意点というわけではないので、必ず保守業務又はメンテナンス業務と称さなければいけないわけではありません。

どうしても言葉の使い方や求人で掲載する名目に困った場合は、保守・保全・メンテナンス業務とまとめて表記する方法もあります。こうすると一見すると複雑な仕事を求められているように見えますが、実際に行わなければいけない業務は全て同じなので説明する時に混乱させてしまうことはありません。実際に工場での機械や設備保全の業務を募集しているところでは保守・保全・メンテナンス業務とまとめて表記しているところも多いですし、求人サイトでもひとまとめの項目になっていることが多いようです。

ちなみに保守・保全・メンテナンス業務でキャリアアップにもつながる機械保全技能士と呼ばれる資格があるのですが、この資格を有している人を募集したい場合は機械保全または設備保全という名目で求人を掲載すると効果があるとされています。

保守・保全・メンテナンスは点検・修理業務として大きな違いはない

このような点から保守・保全・メンテナンスそれぞれの言葉にはあまり大きな違いはなく、一般的にも同じ言葉として用いられていることが多いです。ただ保守とメンテナンスはほとんど同じ意味合いなのに対して、保全は安全面もプラスした大きな意味合いを持っています。このため、基本的には保全の中に保守とメンテナンスが含まれると考えることができます。

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